
こんにちは、映画マニアのゆっちゃんです。
「どうして、あの人は最後にあんな行動をしたんだろう?」
映画を観ていると、事件の謎そのものよりも、登場人物が最後に残した行動の意味が気になって仕方なくなる作品があります。
『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』は、まさにそんな映画でした。
東野圭吾さんの「加賀恭一郎シリーズ」を映画化した本作は、日本橋の麒麟像の前で起きた殺人事件をきっかけに、刑事・加賀恭一郎(阿部寛)が事件の真相を追っていきます。
もちろん、犯人は誰なのかというミステリーとしての面白さもあります。
でも、私がこの映画で強く感じたのは、事件の裏側に隠れていた「人を思う気持ち」でした。
家族だからこそ言えなかったこと。
大切な人だからこそ伝えられなかったこと。
そんな小さなすれ違いが積み重なってしまうと、人と人の距離は思っている以上に遠くなってしまうんですよね。
そして、それに気づいたときには、もう取り返せないこともある。
『麒麟の翼』は、そんな切なさをミステリーの中に丁寧に織り込んだ作品です。
『新参者』シリーズが好きな方はもちろん、東野圭吾さんの作品が好きな方、そして「謎解きだけではなく、人間ドラマもしっかり楽しみたい」という方におすすめしたい一本です。
1)作品基本情報
- 製作年: 2011年
- 時間: 129分
- 監督: 土井裕泰
- 脚本: 櫻井武晴
- 主題歌: JUJU「sign」
- 出演者: 阿部寛、新垣結衣、溝端淳平、松坂桃李、菅田将暉、山﨑賢人、柄本時生、黒木メイサ、三浦貴大、山崎努、中井貴一、田中麗奈ほか
- ジャンル: ミステリー・サスペンス・ヒューマンドラマ
- トリビア:東野圭吾さんの「加賀恭一郎シリーズ」第9作『麒麟の翼』を映画化した作品です。テレビドラマ『新参者』、スペシャルドラマ『赤い指』に続き、阿部寛さんが加賀恭一郎を演じています。映画版でも、加賀の鋭い観察力と、人の心に踏み込んで真実を見つけようとする姿が大きな見どころになっています。原作の舞台となる日本橋の「麒麟像」は、映画の中で単なる事件現場として登場するだけではありません。「麒麟」という存在そのものが、物語を象徴するような重要なモチーフになっています。また、今では主演級として活躍する松坂桃李さん、菅田将暉さん、山﨑賢人さんが出演しているのも、この映画を改めて観る楽しみのひとつ。特に若い頃の彼らの演技を見ると、「この頃からこんな存在感があったんだ!」と驚かされます。松坂桃李さんは『麒麟の翼』を含む2012年の出演作が評価され、第36回日本アカデミー賞の新人俳優賞で優秀賞を受賞しています。
2)あらすじ(ネタバレなし)
東京・日本橋。
翼を大きく広げた「麒麟像」のそばで、腹部を刺された男性が倒れているのが発見されます。
被害者は、大手企業「カネセキ金属」に勤める青柳武明(中井貴一)。
しかし、加賀恭一郎(阿部寛)が疑問を抱いたのは、青柳が亡くなった場所だけではありませんでした。
青柳は腹部を刺されたあと、すぐに助けを求めることなく、約8分間歩き続けて日本橋の麒麟像までたどり着いていたのです。
「なぜ、青柳はそこまでして日本橋へ向かったのか?」
その謎を追うことになるのが、日本橋署の刑事・加賀恭一郎です。
捜査線上に浮かんだのは、青柳の鞄を持って逃走していた青年・八島冬樹(三浦貴大)。
八島は逃走中に車と接触して意識不明の重体となってしまいます。
八島の恋人・中原香織(新垣結衣)は、「彼が人を殺すはずがない」と訴えます。
八島が事件の容疑者として見られる一方で、加賀は青柳の最後の行動に強い違和感を抱いていました。
なぜ、刺された青柳は助けを求めなかったのか。
なぜ、縁のある場所とは思えない日本橋の麒麟像を目指したのか。
加賀は、従弟で警視庁捜査一課の刑事・松宮脩平(溝端淳平)とともに、青柳の家族や八島の恋人、そして事件に関わる人々から話を聞いていきます。
一方、青柳の息子・青柳悠人(松坂桃李)は、父親との関係に複雑な思いを抱えていました。
中学時代には水泳部で活躍していたものの、ある出来事をきっかけに水泳をやめ、父親との間にも距離が生まれていたのです。
さらに捜査が進むにつれて、悠人が中学時代に所属していた水泳部の仲間や後輩たちにも、過去のある出来事が関係していることが見えてきます。
杉野達也(山﨑賢人)や吉永友之(菅田将暉)ら、若者たちが抱えていた過去。
青柳が勤めていた会社で起きていた問題。
そして、八島が青柳と関わることになった背景。
一見すると別々に見えていた出来事が、加賀の捜査によって少しずつつながっていきます。
最初は、単純な殺人事件に見えた出来事。
ところが、加賀が一つひとつの証言や行動を丁寧に追っていくと、そこには家族や恋人、友人、そして過去に関わった人たちの複雑な感情が隠されていました。
なぜ青柳は、刺されたあとも日本橋の麒麟像を目指したのか。
そして、青柳が最後に残した行動には、どんな意味があったのか。
加賀が事件の真相を追う中で、少しずつ見えてくる人々の思い。
『麒麟の翼』は、犯人を見つけることだけを目的としたミステリーではありません。
一つの事件をきっかけに、家族のすれ違いや過去の後悔、そして人が大切な人に何を伝えられるのかまで描いていく物語です。
3)見どころ
①「家族なのに伝わらない」切なさが胸に残る
『麒麟の翼』で私が一番心を揺さぶられたのは、殺人事件そのものよりも、その裏側にある家族の感情です。
親子だからこそ言えない。
大切だからこそ厳しくしてしまう。
心配しているのに、その気持ちが相手には伝わらない。
そんな経験って、誰にでも少なからずあるのではないでしょうか。
映画の中の人物たちも、それぞれの立場から相手を思っているのに、なぜか気持ちがすれ違ってしまいます。
「もっと早く話していれば」
「ちゃんと言葉にしていれば」
そう思わされる場面が重なっていくから、事件の真相が見えてくるほど胸が苦しくなります。
ミステリーなのに、最後に心に残るのが「家族」というところが、この作品の大きな魅力だと思います。
②加賀恭一郎の捜査が、事件の奥まで連れていく
加賀恭一郎は、派手に犯人を追い詰めるタイプの刑事ではありません。
相手の言葉を聞き、行動を観察し、「なぜ?」を何度も繰り返しながら真実を探していきます。
そのため、一つひとつの会話にも意味があるように感じられて、こちらまで一緒に推理しているような気持ちになるんですよね。
特に、加賀を演じる阿部寛さんの存在感が素晴らしいです。
落ち着いた話し方なのに、相手の心の奥まで見透かしているような鋭さがある。
そして、ただ冷静なだけではなく、人間に対する温かさも感じられる。
この「静かな強さ」が加賀恭一郎というキャラクターの魅力ではないでしょうか。
③日本橋と麒麟像が生み出す、静かな空気感
この映画を観ていると、日本橋という街そのものが物語の一部になっているように感じます。
華やかな東京の風景とは少し違う、歴史を感じさせる日本橋。
その中心にある麒麟像が、事件の始まりから最後まで強い存在感を放っています。
夜の日本橋、寒々とした街の空気、静かに進んでいく捜査。
派手な演出で盛り上げるというより、じわじわと事件の重さを感じさせる映像になっています。
そして「麒麟」という象徴が、物語の中でどんな意味を持つのか。
そこにも注目して観てほしいですね。
4)こんな人におすすめ
- 東野圭吾さんのミステリーが好きな人
- 『新参者』シリーズが好きな人
- 阿部寛さん演じる加賀恭一郎が好きな人
- 犯人探しだけではなく、人間ドラマも楽しみたい人
- 家族をテーマにした映画が好きな人
- 『容疑者Xの献身』や『手紙』など、東野圭吾原作の映画が好きな人
- 松坂桃李、菅田将暉、山﨑賢人の若い頃の演技を観たい人
5)ゆっちゃんのひとこと
『麒麟の翼』は、私が東野圭吾作品の中でも特に「人の気持ち」を感じる映画です。
もちろん殺人事件を扱っているので、最初は「犯人は誰なんだろう?」という気持ちで観始めます。
でも、観ているうちに、だんだん気になってくるのは犯人だけではなくなってくるんですよね。
「この人は、どうしてこんなことをしたんだろう?」
「本当は何を伝えたかったんだろう?」
そんなふうに、登場人物一人ひとりの気持ちを考えながら観るようになります。
私が特に好きなのは、加賀恭一郎の捜査の仕方です。
加賀は、事件を「犯人を捕まえて終わり」にしません。
そこに至った理由や、その人が抱えていたものまで見ようとする。
だからこそ、加賀の捜査には冷たさがないんですよね。
刑事として真実を追いながらも、人間を見捨てない。
阿部寛さんが演じる加賀恭一郎には、そんな温かさがあります。
そして、青柳武明を演じた中井貴一さんも本当に素晴らしい。
多くを語る人物ではないからこそ、表情や佇まいから伝わってくるものがあります。
「この人は何を考えていたんだろう?」
そんな疑問を抱えながら観ることになるのですが、物語が進むにつれて、その人物像が少しずつ変わって見えてくるんです。
青柳武明が最後に残した行動の意味が、物語を追う中で少しずつ見えてくるところにも、強く心を動かされました。
私は、こういう映画が好きです。
最初に見たときと、物語を知ったあとでは、同じ人物の表情が違って見える。
「あのとき、そういう気持ちだったのか」と、後から気づくことがある。
映画を観終わったあとに、もう一度最初の場面を思い出したくなるような作品です。
そして、若い松坂桃李、菅田将暉、山﨑賢人が出演しているのも、今となってはかなり豪華ですよね。
特に、今ではそれぞれが日本映画を代表する俳優になっているので、「こんなところに出ていたんだ!」という発見もあります。
『麒麟の翼』は、派手なミステリーではありません。
大きなどんでん返しだけを楽しむ映画でもないと思います。
むしろ、人が抱えている感情を少しずつほどいていくような作品です。
親子、恋人、友人。
近い関係だからこそ、言葉にできないことがあります。
「わかってくれるだろう」と思ってしまうこともあります。
でも、本当は言葉にしなければ伝わらないこともある。
そんな当たり前だけれど忘れてしまいがちなことを、この映画は静かに教えてくれました。
私自身、観終わったあとに「もっと家族と話をしようかな」と思わされた作品です。
事件の謎を楽しみながら、最後には人の心について考えさせられる。
これが『麒麟の翼』の魅力だと思います。
東野圭吾さんの作品が好きな方には、ぜひ一度観てほしいですね。
6)視聴方法
『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』の配信状況は変更される場合があります。
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7)関連作品
『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』が心に残った方には、東野圭吾さんの作品をもう少し続けて観てみるのもおすすめです。
・『祈りの幕が下りる時』
『麒麟の翼』と同じ「新参者」シリーズの加賀恭一郎が登場する作品です。
加賀自身の過去や家族にまつわる物語にも深く踏み込んでいくため、『麒麟の翼』を観たあとに続けて観ると、加賀という人物をさらに深く感じられると思います。
・『容疑者Xの献身』
東野圭吾作品の映画化作品として、ぜひ観てほしい一本です。
事件の謎だけではなく、「人を愛するとはどういうことなのか」を考えさせられる、切なくて奥深いミステリーです。
▶ 『容疑者Xの献身』ネタバレなし感想・『手紙』
犯罪そのものではなく、罪を犯した人の家族が背負う苦しみに焦点を当てた作品です。
「罪とは誰のものなのか」という重いテーマを真正面から描いていて、『麒麟の翼』とはまた違った角度から人間の心に迫ってきます。
▶ 『手紙』ネタバレなし感想東野圭吾原作映画をもっと楽しみたい方へ
『容疑者Xの献身』『手紙』『白夜行』『祈りの幕が下りる時』など、東野圭吾さんの映画化作品をまとめています。
▶ 東野圭吾原作映画おすすめ10選|心に残るミステリーと感動作品👇東野圭吾さんの原作小説や映画関連作品を探したい方はこちらもどうぞ。
8)まとめ
『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』は、殺人事件の謎を追いながら、その奥にある人間の感情を丁寧に描いたミステリー映画です。
最初は「犯人は誰なのか?」という気持ちで観始めても、物語が進むにつれて、「この人は何を思っていたんだろう」と登場人物の心に興味が移っていきます。
そこが、東野圭吾さんの作品らしいところだと思います。
事件には必ず、その事件に至るまでの人間の感情があります。
怒り、後悔、愛情、嫉妬、罪悪感。
そして、相手を思っているのに、その気持ちがうまく伝わらないという切なさも描かれています。
特に、家族という近い存在だからこそ生まれるすれ違いには、胸に刺さるものがありました。
「家族なんだから、わかっているはず」
そう思ってしまうけれど、本当は言葉にしなければ伝わらないこともあります。
この映画を観ていると、そんな当たり前のことを改めて考えさせられます。
そして、阿部寛さん演じる加賀恭一郎がとてもいい。
鋭い刑事でありながら、人の心を置き去りにしない。
真実を追いながらも、その人がなぜそうなったのかまで見ようとする姿勢に、加賀という刑事の優しさを感じます。
『新参者』シリーズが好きな方なら、もちろん楽しめる作品です。
でも、ドラマを観ていない方でも、ひとつのミステリー映画として十分楽しめます。
松坂桃李さん、菅田将暉さん、山﨑賢人さんなど、今では大人気の俳優たちが若い頃に出演しているのも見逃せません。
ミステリーが好きな方。
家族をテーマにした映画が好きな方。
そして、観終わったあとに少しだけ自分の大切な人のことを考えたくなるような映画を探している方。
そんな方には、ぜひおすすめしたい作品です。
事件の真相だけを追うのではなく、登場人物たちが何を思い、何を守ろうとしていたのか。
そこにも注目して観てみてください。
きっと、最後に見える「麒麟の翼」の意味が、最初とは少し違って感じられるのではないでしょうか。
東野圭吾さんが描く、人の心に残るミステリー。
『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』、ぜひ一度じっくり味わってみてくださいね。


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