
こんにちは、映画マニアのゆっちゃんです。
映画には、観ている間は物語に引き込まれ、観終わってから社会や自分自身について考えさせられる作品があります。
2018年公開の『万引き家族』は、まさにそんな一本です。
東京の下町で暮らす、決して裕福とはいえない人々。彼らの日常を追いながら、この映画は貧困や子どもの置かれた環境、社会からこぼれ落ちてしまう人々の姿を静かに映し出していきます。
監督・脚本を手がけたのは、家族をテーマにした作品を数多く発表してきた是枝裕和監督。第71回カンヌ国際映画祭では、最高賞のパルムドールを受賞しました。
でも、この映画の魅力は、国際的な賞を受賞したことだけではありません。
特別なヒーローが登場するわけでも、すべての問題が簡単に解決するわけでもない。それなのに、登場人物たちの暮らしを見ていると、いつの間にか彼らのことが気になってしまうんです。
今回は、ネタバレなしで『万引き家族』のあらすじや見どころ、私が感じた魅力をお伝えします。
1)作品基本情報
製作年: 2018年
上映時間: 120分
監督・脚本: 是枝裕和
出演者: リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、樹木希林 ほか
ジャンル: ヒューマンドラマ
トリビア: 第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞。日本映画が同賞を受賞したのは、1997年の今村昌平監督『うなぎ』以来、21年ぶりでした。また、第91回アカデミー賞では外国語映画賞(現在の国際長編映画賞)にノミネートされています。
2)あらすじ(ネタバレなし)
東京の下町にある古びた平屋。そこでは、治(リリー・フランキー)、信代(安藤サクラ)、祥太(城桧吏)、亜紀(松岡茉優)、そして祖母の初枝(樹木希林)が一緒に暮らしています。
裕福とはいえない一家ですが、食卓を囲み、冗談を交わしながら過ごす毎日には、にぎやかさと温かさがあります。
彼らは初枝の年金などを頼りに生活し、足りないものは万引きで補っていました。
そんなある冬の日、治と祥太は、近所の団地の廊下でひとり震えている幼い女の子、ゆり(佐々木みゆ)を見つけます。
寒さの中にいる小さな子を放っておけず、治はゆりを家に連れ帰ります。彼女の置かれた状況を知った信代も、ゆりを気にかけるようになり、やがて一家は彼女を迎え入れることになります。
それまでとは違う暮らしの中で、ゆりは大人たちの優しさに触れていきます。
一方、祥太もまた、治と一緒に行動する日々の中で、さまざまなことを経験していきます。
血のつながりだけでは説明できない関係で結ばれた一家。
彼らの日常には、笑顔がある一方で、外からは見えにくい事情も隠されています。
ところが、ある出来事をきっかけに、それまで続いていた暮らしは大きく揺らぎ始めます。
それぞれが抱えてきた事情が少しずつ表面化する中で、家族の関係や、彼らが選んできた生き方も問われることになるのです。
一緒に暮らすことと、家族であることは同じなのか。誰かを守ろうとする行為は、いつでも正しいといえるのか。
『万引き家族』は、そんな簡単には答えの出ない問題を、ひとつの家族の物語を通して描いていきます。
3)見どころ
① 食卓や会話から伝わる、暮らしのリアリティ
本作の魅力は、登場人物たちの暮らしが、まるで本当にそこにあるかのように感じられることです。
食事を囲む場面や、何気ない会話、家族同士の遠慮のなさ。特別な演出を前面に出すのではなく、日常の積み重ねによって、一家の関係性が伝わってきます。
狭い家の中で人々が行き交い、時には笑い、時には言い合う。そんな様子を見ていると、彼らの生活に自然と親しみを感じるんですよね。
ただし、温かい日常が描かれているからといって、彼らの暮らしに問題がないわけではありません。
むしろ、何気ない幸せが丁寧に描かれているからこそ、その生活を支えているものや、見過ごせない現実が気になってきます。
日常の描写そのものが、物語を深く味わうための大切な手がかりになっているところに注目です。
② 説明しすぎない物語だからこそ、考えながら観られる
『万引き家族』では、登場人物の事情が最初からすべて説明されるわけではありません。
会話の端々や、ふとした表情、何気ない行動から、それぞれの人物がどんな思いを抱えているのかを想像することになります。
そのため、物語が進むにつれて、最初に抱いた印象が少しずつ変わっていくこともあります。
誰かの行動に共感できても、そのすべてを肯定できるとは限りません。反対に、理解しにくい行動の裏側に、事情や弱さが見えてくることもあります。
善悪を単純に分けるのではなく、人物の背景を考えながら観られるのが、本作の大きな魅力です。
何が起きるのかという興味だけでなく、「自分ならどう考えるだろう」と思いながら観ると、より深く物語に入り込めるのではないでしょうか。
③ 安藤サクラをはじめ、俳優たちが見せる繊細な表現
俳優陣の演技も、本作を語るうえで欠かせません。
リリー・フランキーさんが演じる治は、どこか飄々とした雰囲気を持ちながら、つかみどころのない人物です。
安藤サクラさんが演じる信代からは、強さだけではない複雑な感情が伝わってきます。そして、樹木希林さんの自然体でありながら印象に残る存在感も見事です。
さらに、子どもたちの表情や仕草にも目を引かれます。大人の言葉だけでは伝わらない気持ちが、表情や行動から感じられる場面もあります。
登場人物が感情を大きく説明するのではなく、言葉にしない部分まで観客に想像させてくれるんです。
俳優たちの演技が物語の空気に溶け込んでいるからこそ、観客も一家の日常をすぐそばで見ているような気持ちになるのだと思います。
4)こんな人におすすめ
- 是枝裕和監督の作品をじっくり味わいたい人
- 家族や親子の関係を描いたヒューマンドラマが好きな人
- 貧困や社会問題を扱った映画に関心がある人
- リリー・フランキーさん、安藤サクラさん、樹木希林さんの演技を楽しみたい人
- 登場人物の背景や心情を想像しながら観る映画が好きな人
- 観終わったあとに、自分なりの感想をじっくり考えたくなる人
5)ゆっちゃんのひとこと
私が『万引き家族』を観て強く感じたのは、人の優しさと、正しい行いは、必ずしも同じではないということです。
誰かを大切に思う気持ちがあっても、その人のためにしたことが、本当に相手のためになっているとは限りません。
この映画に登場する一家にも、互いを気にかける姿があります。貧しい暮らしの中でも笑い合い、誰かが困っていれば手を差し伸べる。そこには、確かに人の温かさが感じられます。
でも、だからといって、万引きなどの行為が許されるわけではありません。
子どもを守るということについても、大人の気持ちだけで決めていいのか、考えずにはいられませんでした。
私は映画を観るとき、登場人物の誰かに共感できるかどうかを大切にしています。
でも、本作は、共感できる部分があっても、すべてを受け入れることはできないんです。
その簡単には割り切れないところが、この映画の印象を強くしているのだと思います。
そして、もうひとつ感じたのは、外から見える姿だけでは、その人の本当の暮らしや気持ちはわからないということです。
幸せそうに見える家族にも、誰にも言えない事情があるかもしれません。
反対に、周囲から理解されにくい人たちの中にも、私たちが気づいていない思いやりがあるのかもしれません。
もちろん、事情を知れば何でも許されるということではありません。
でも、表面だけを見て判断してしまうことの怖さは、忘れないでいたいですね。
俳優さんたちの演技も、本当に心に残ります。
特に安藤サクラさんは、強さと弱さが入り交じる感情を、表情や声の調子から細やかに伝えてくれます。
リリー・フランキーさんや樹木希林さんも含め、誰かひとりだけが目立つのではなく、全員が物語の世界を支えているように感じました。
派手な演出で感動させるのではなく、人間の矛盾や弱さまで含めて描く。
だからこそ、登場人物たちを簡単に忘れられないのではないでしょうか。
私は、映画には正解を教えてもらう楽しみだけでなく、自分が今まで当たり前だと思っていたことを見直す楽しみもあると思っています。
『万引き家族』は、まさにそんな作品です。
誰かを思う気持ちとは何か。
相手を守るとはどういうことなのか。
観る人によって受け止め方が違うと思いますが、私は、登場人物たちを通して自分自身の考え方まで振り返るきっかけをもらいました。
6)視聴方法
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家族の絆や親子関係について考えさせられるヒューマンドラマです。
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7)関連作品
■ 是枝裕和監督の作品や邦画をもっと楽しみたい方へ
『万引き家族』のように、人と人との関係や生き方について考えさせられる邦画は、ほかにもたくさんあります。
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8)まとめ|心に残るのは、簡単には答えの出ない問い
『万引き家族』は、ある一家の日常を通して、人の優しさだけでなく、社会の中で生きることの難しさも描いたヒューマンドラマです。
是枝裕和監督の繊細な演出と、リリー・フランキーさん、安藤サクラさん、樹木希林さんをはじめとする俳優陣の演技が、登場人物たちの暮らしにリアリティを与えています。
この作品には、誰もが納得できるような簡単な答えは用意されていません。だからこそ、観る人それぞれが、自分の経験や考え方に照らし合わせながら楽しめるのだと思います。
家族をテーマにした映画が好きな方はもちろん、社会問題を扱った作品や、人間の複雑な感情を丁寧に描いた映画が好きな方にもおすすめしたい一本です。
カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した作品ということで、少し難しそうに感じる方もいるかもしれません。
でも、物語の中心にあるのは、日々の暮らしの中で揺れ動く人々の気持ちです。
難しい知識がなくても、登場人物たちの表情や会話を追いながら、自然と物語に入り込めるはずです。
映画を観たあとには、自分が大切にしている人との関係や、普段はあまり意識しない社会のことにも、少し目を向けてみたくなるかもしれません。
映画好きの私としては、ただ面白かったで終わらず、心に残ったことを誰かと語り合いたくなる作品を、ぜひ多くの方に知ってほしいと思っています。
まだご覧になっていない方は、この機会に『万引き家族』をチェックしてみてくださいね。


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